サブスクから接続まで:クライアントの用語が現れる順番
初めてクライアントを開くと、大きなスイッチが1つあるわけではなく、一覧が表示されます。登場する順番を整理しておけば、あとから出てくる用語もそれぞれの位置に当てはめられます。
全体の流れはこうです。サブスクリンクを取得 → クライアントにインポート → クライアントがサブスクのURLにアクセスしてノード一覧を取得 → 一覧からノードを1つ選ぶ → クライアントが分流ルールに従って、どの通信をこのノードに送るか決める → 接続を確立。以下、この順番で解説します。
サブスクリンクはパラメータ付きのURLで、サーバー側の設定ファイルを指します。クライアントがこれをリクエストすると、複数のノードを含む設定が返ってきます。各ノードにはサーバーアドレス、ポート、プロトコル、暗号化パラメータが含まれます。同時にアカウントの認証情報も持っており、設定であると同時に鍵でもあります。
ノードは一覧の1行にあたり、接続先となるサーバーの入口を指します。ノード名にはHK、JP、SG、USといった接頭辞がよく付きますが、これはその回線の出口がどの国・地域にあるかを示すもので、通信がその国の中だけを回るという意味ではありません。
遅延はクライアントがノードに1回プローブして得られる往復ミリ秒数で、並べ替えの参考程度に向いています。プローブのパケットは非常に小さく、実際の通信経路と完全に同じとは限らないため、遅延が低い=ダウンロードが速いとは言えません。帯域と通信量は別の軸で、プラン内の通信量枠と回線自体の容量によって決まります。
| 画面の項目 | 意味 | 初心者がよく誤解する点 |
|---|---|---|
| サブスク | ノード一覧のアドレス。インポートするとノードリストが生成される | 一度インポートすれば永久に有効だと思い、長期間更新しない |
| ノード | 接続できるサーバーの入口1つ | 名前に付いた地域の接頭辞を回線タイプだと思う |
| 遅延 | クライアントのプローブで得られる往復ミリ秒数 | 遅延が最も低いノードが必ず最速だと思う |
| 通信量 / 帯域 | プラン内で使える通信量枠と回線容量 | 遅延が低い=速度制限なし、と考える |
| プロトコル | クライアントとサーバー間のハンドシェイクと暗号化方式 | プロトコルは自分で選ぶものだと思うが、実際はサブスクから自動で適用される |
| 分流ルール | どの通信をノード経由にし、どれを直結にするかを決める | 接続すればすべての通信がノード経由になると思い込む |
ノードと回線タイプ:直結・中継・IEPL専用線は何が違うのか
ノード名から分かるのは出口がどこかだけで、「どうやってそこへ行くか」は分かりません。端末から出口サーバーまでの区間は業界では回線と呼ばれ、一般的な構成は3つあります。
直結:クライアントが出口サーバーのパブリックアドレスに直接接続します。経路が最短でコストも最も低い一方、国際区間は公共インターネットを通るため、夜のピーク時間帯に国際出口が混雑すると遅延の変動が目立ちます。
中継:クライアントはまず近くの中継サーバーに接続し、そこから出口へ転送します。国際区間は最適化された経路を使えるため通常は直結より安定しますが、その分ワンホップ余計に経由します。
IEPL専用線:IEPLはInternational Ethernet Private Lineの略で、通信事業者レベルのポイントツーポイント専用線を指します。国際区間は公共インターネットの出口を通らないため、パケットロスとジッターが小さく、コストは最も高くなります。一般的には安定性が重視される用途で使われます。
| 回線タイプ | 国際区間の経路 | 安定性 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 直結 | 公共インターネットの国際出口を通る | 夜のピーク時間帯の影響を受けやすい | 一時的な調べものなど、遅延を気にしない閲覧 |
| 中継 | 近くの中継サーバーが転送。国際区間は最適化可能 | 中程度からやや安定 | 日常の業務、ストリーミング、出口が遠方にある用途 |
| IEPL専用線 | 通信事業者のポイントツーポイント専用線。公共の出口を経由しない | パケットロスとジッターが最小 | 長時間の会議、大容量ファイル転送、常時接続のタスク |
MeyeVPNの回線構成は以下のとおりです。ノードを選ぶときは、まず回線タイプで絞り込み、そのうえで目的の地域から遅延の低いものをいくつか選んでください。地域と回線の全ラインナップはノードページで確認できます。
プロトコル:Shadowsocks、VMess、Trojan、VLESS、Hysteria2、TUICとは何か
プロトコルが決めるのは3つです。クライアントとサーバーがどうハンドシェイクするか、どの方式で暗号化するか、データをTCPで運ぶかUDPで運ぶか。回線タイプとは別物で、回線は「パケットをどう運ぶか」、プロトコルは「パケットがどんな形か」を扱います。ユーザーから見ると、プロトコルはサブスクから自動で適用されるため、通常は手動で選ぶ必要はありません。
- Shadowsocks:軽量なプロキシプロトコルで、SOCKS5に独自の暗号化(AEAD系、chacha20-ietf-poly1305、aes-256-gcmなど)を重ねた考え方です。オーバーヘッドが小さく、ルーターのように性能が限られた機器に向いています。
- VMess:V2Rayプロジェクトの独自プロトコルで、UUIDでユーザーを識別し、WebSocket、gRPC、HTTP/2など複数の転送方式に対応します。初期の実装はタイムスタンプ検証に依存していたため、クライアントのシステム時刻が大きくずれているとハンドシェイクに失敗します。これは初心者が「つながらない」と感じるよくある原因の1つです。
- VLESS:VMessの軽量な後継で、それ自体は暗号化を内蔵せず、TLSや転送層による保護に依存します。構造がよりシンプルでオーバーヘッドも低く、XTLSやREALITYといった方式と組み合わせて使われることが多いです。
- Trojan:プロキシのセッションを標準的なHTTPS通信に見せかける方式で、通常は443番ポートで動作し、外見は普通のWebサイトへのアクセスと同じです。
- Hysteria2:QUIC(UDP)ベースのプロトコルで、輻輳制御を内蔵し、パケットロスや弱いネットワーク環境でより安定します。UDPに依存するため、UDPが制限されたネットワークでは接続できません。
- TUIC:同じくQUICベースで、多重化とコネクションマイグレーションに対応し、Wi-Fiからモバイル回線に切り替えても接続が切れにくいのが特徴です。
| プロトコル | 転送のベース | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Shadowsocks | TCP / UDP | 軽量でオーバーヘッドが小さい | 機能は比較的シンプルで、偽装層を持たない |
| VMess | TCP。さまざまな転送方式を組み合わせ可能 | エコシステムが成熟し、パラメータが多い | 初期の実装は時刻検証に依存 |
| VLESS | TCP。TLS / XTLSと組み合わせることが多い | 構造がシンプルでオーバーヘッドが低い | 暗号化は外層の転送に依存 |
| Trojan | TCP + TLS | HTTPSセッションに偽装 | 証明書と443番ポートに依存 |
| Hysteria2 | QUIC(UDP) | 弱い回線やパケットロス環境に強い | UDPが制限されていると利用不可 |
| TUIC | QUIC(UDP) | 多重化、コネクションマイグレーション | 同上。UDPに依存 |
分流ルール、グローバルとルールモード:3つのモードの使い分け
クライアントの上部には通常、グローバル・ルール・直結の3つのモードがあり、いずれも「どの通信をノード経由にするか」という同じことを決めています。
- グローバルモード:すべての通信をノード経由にします。中国本土のサイトも含まれます。挙動は分かりやすい一方、中国本土のサイトは遠回りになって読み込みが遅くなり、出口アドレスの変化で一部のサービスが認証を求めてくることもあり、通信量の消費も早くなります。
- ルールモード:内蔵の分流ルールに沿って1件ずつ照合します。一般的なルールセットはドメインとIPレンジで分類され、中国本土のドメインとIPは直結、海外アクセスが必要な通信はノード経由になります。デスクトップのクライアントではプロセス単位で指定することもできます。
- 直結モード:すべての通信をノード経由にせず、プロキシを一時的に切った状態でクライアントは動かしたままにできます。比較や切り分けに便利です。
分流ルールとは、この照合ロジックそのものです。「Xに一致したらYへ送る」という項目の集まりで、ドメインのサフィックス、IPレンジ、プロセス名、さらに自分で追加したカスタムルールが含まれます。ルールモードの使い勝手は、ルールセットがどれだけ早く更新されるかでほぼ決まります。
- ✅ 日常のブラウジングや業務:ルールモードを使い、中国本土は直結、海外アクセスが必要な通信はノード経由
- ✅ ブラウザだけをノード経由にしたい:デスクトップ版のプロセス分流、またはモバイル版のアプリ別プロキシを使う
- ✅ あるサイトが海外出口でどう表示されるか確認したい:一時的にグローバルモードに切り替え、確認後にルールモードへ戻す
- ❌ グローバルモードのまま長時間、中国本土の動画を見る:通信が遠回りになり、読み込みが遅くなる
- ❌ 「ルールモードが効いていない」を「サービス障害」と決めつける:まず対象ドメインが直結判定されていないか確認する
結論:普段はルールモードを既定にし、中国本土の通信は直結、海外アクセスが必要な通信はノード経由にします。あるサイトがルールで誤判定されるとき、またはすべての通信を同じ出口から出したいときだけ、一時的にグローバルモードに切り替え、終わったら戻します。
DNSリークとサブスク更新:見落としやすい2つのポイント
DNSリークとは、通信自体はノード経由になっているのに、ドメイン名の解決リクエストがローカルの通信事業者のDNSサーバーから送られてしまうことを指します。影響は2つあります。解決結果が汚染されて「接続はできているのに開けない」状態が起きること、そしてどのドメインにアクセスしているかが解決記録から分かってしまうことです。
クライアント側の対処は主に2つです。1つはDNS問い合わせをプロキシに引き継がせ、ノード側で解決した結果を返す方法。もう1つは暗号化DNS(DoH / DoT)を使い、平文の問い合わせを暗号化通信に置き換える方法です。どちらも、解決リクエストをローカルのDNSに落とさないことが目的です。
確認方法:ノードに接続した状態でDNSリーク検出ページを開き、表示されるリゾルバがローカルの通信事業者のものかどうかを見ます。そのままならDNSの引き継ぎが効いていないので、クライアント設定で「リモートDNS」を有効にするか、暗号化DNSのアドレスを手動で指定します。
サブスク更新も忘れがちな操作の1つです。サーバー側でノードが追加・削除されたり回線が調整されたりしても、クライアントは自動では気づかないため、サブスクを再取得する必要があります。週に1回は手動で更新するか、クライアントの自動更新(通常は毎日または毎週に設定できます)を有効にすることをおすすめします。ある地域にノードがあるはずなのに表示されない場合は、まずサブスクを更新してから原因を調べましょう。
はじめの確認チェックリストとよくある疑問
ここまでの内容を、そのまま実行できるチェックリストにまとめました。
- ✅ サブスクをインポートしたら、まず手動で一度更新し、ノード一覧が最新であることを確認する
- ✅ モバイルではクライアントをシステムの省電力ホワイトリストに追加し、バックグラウンドで停止されて切断されるのを防ぐ
- ✅ デスクトップでは、クライアントに仮想ネットワークアダプタの作成またはシステムプロキシ設定の権限があることを確認する
- ✅ 接続後にDNSリーク検査を一度行い、名前解決がローカルの通信事業者に落ちていないことを確認する
- ❌ サブスク内のプロトコルパラメータを手動で書き換えない。誤ると接続できなくなる
- ❌ サブスクリンクを公開の場に貼らない。スクリーンショットでもリンク全体を写さない
ノードは多ければ多いほどよい?
いいえ。ノードが多いほど選べる出口は増えますが、体感を左右するのは回線タイプとその時間帯の混雑状況です。数十個のノードを何度も試すより、まず回線タイプで絞り込み、遅延の低いものの中から安定した1本を選んで長く使うほうが現実的です。
遅延が低いノードは必ず速い?
必ずしもそうではありません。遅延はプローブで得られる往復時間で、反応の速さを示すものです。ダウンロード速度は回線容量、出口帯域、相手サーバーの制限にも左右されます。動画が止まらないかとWebページが速く開くかは、そもそも別の話です。
グローバルモードとルールモード、安全なのはどちら?
どちらも暗号化の強度とは関係なく、違いは通信の経路だけです。普段はルールモードを使い、中国本土の通信は直結にすれば、国際回線を通る割合はむしろ少なくなります。あるサイトが海外出口でどう見えるかを一時的に確認したいときに、グローバルモードへ切り替えましょう。
プロトコルは自分で選ぶ必要がある?
通常は不要です。サブスクに各ノードのプロトコルがすでに書かれており、クライアントが自動で使います。利用中のネットワークが特定の転送方式(UDPなど)を制限している場合に限り、別のプロトコルのノードに切り替える必要があります。
まとめ:サブスクはノード一覧をクライアントに届け、ノードと回線は通信がどう流れるかを、プロトコルは通信がどんな形かを、分流ルールはどの通信を通すかを、モードはルールをどう使うかを決めます。普段はルールモードを既定にしておき、開けないサイトが出たときだけ個別にルールを確認すれば十分です。